クロス・ケープの選び方:選定基準は衛生管理要領にほぼ全部書いてある

カットクロスやケープの選び方は、メーカーの説明より先に厚生労働省の衛生管理要領を読むと決まります。「被布」と「皮膚に接する布片類」は別の条項で扱われ、求められることが違います。色の推奨、必要な枚数、消毒の温度条件まで、通知の原文をもとに整理します。

  • 出典4件
  • 最終確認
  • 公開
  • 広告/PRあり

この記事の根拠

この記事は公開情報4件をもとに作成しています(最終確認日 2026-10-11)。

出典一覧を見る
  1. 理容所及び美容所における衛生管理要領について(昭和56年6月1日 環指第95号)|厚生労働省 (確認日:2026年10月11日)
  2. 「理容所及び美容所における衛生管理要領」等の一部改正について(令和6年6月26日 健生発0626第6号。別紙1は新旧対照表、改正後全文を収録)|厚生労働省 (確認日:2026年9月17日)
  3. 理容・美容|厚生労働省 (確認日:2026年9月17日)
  4. 美容師法(昭和32年6月3日 法律第163号)|厚生労働省 法令等データベース (確認日:2026年9月17日)

クロス・ケープの選び方:選定基準は衛生管理要領にほぼ全部書いてある

カットクロスやケープを選ぶとき、商品ページには撥水・軽量・静電気防止といった説明が並びます。ただ、開業する側にとっての選定基準は、メーカーの説明より先に、厚生労働省の通知に書かれています。

理容所及び美容所における衛生管理要領には、色の推奨、必要な量、消毒の方法と温度まで具体的に示されています。しかも重要なのは、「被布」と「皮膚に接する布片類」が別の条項で扱われていて、求められることが違うという点です。

この記事では、通知の原文をもとに、クロス・ケープの選定基準を整理します。特定の商品を推奨するものではありません。

前提:どの版を読むか

衛生管理要領は昭和56年の通知(環指第95号)が本体で、その後改正されています。厚生労働省のページに掲載されている直近の改正は令和6年6月26日です(出典: 厚生労働省 理容・美容 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000123853.html )。

令和6年の改正は、就業制限の対象となる感染症の記述を個別列挙から法令参照に改めたことと、管理理容師・管理美容師の業務についてデジタル技術等を活用した対応を認める規定を新設したことが主な内容で、布片類・タオル・消毒に関する条項の内容は変わっていません(出典: 厚生労働省 衛生管理要領の一部改正について(令和6年6月26日) https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001403691.pdf )。

**改正箇所は、この改正通知の別紙1(新旧対照表)**に示されています(同じ通知には、新旧対照表の後に改正後全文も収録されています)。以下の引用は、厚生労働省のページに掲載されている要領(昭和56年6月1日 環指第95号)の本文で文言を確認したものです。

広告/PR

※リンク先はAmazonおよび楽天市場の検索結果です。
Amazonのアソシエイトとして、Prosporaは適格販売により収入を得ています。

条項が2つに分かれている

まず押さえるのは、クロス・ケープにあたる「被布」と、タオルなどの「皮膚に接する布片類」が別の条項だということです。

被布(第4の15)

「客用の被布は、使用目的に応じて区別し、清潔なものを使用すること(白色又はこれに近い色で汚れが目立ちやすい被布を使用することが望ましい。)」

(出典: 厚生労働省 理容所及び美容所における衛生管理要領 https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001403692.pdf )

求められているのは2つです。使用目的に応じて区別することと、清潔なものを使用すること。そして括弧書きで、白色又はこれに近い色で汚れが目立ちやすいものが望ましいとされています。

皮膚に接する布片類(第4の12)

「皮膚に接する布片類は、清潔なものを使用し、客1人ごとに取り替えること」

(出典: 同上)

こちらは客1人ごとの交換が明記されています。

この違いが選び方に効く

2つの条項を並べると、クロスまわりの運用の形が見えてきます。

被布の条項には「客1人ごとに取り替える」という文言がありません。一方、皮膚に接する布片類にはそれがあります。つまり首や肌に直接触れる部分をどう扱うかが、運用の分かれ目になります。

ネックペーパーやタオルを首に巻いてからクロスをかける、という手順は、この構造に沿った運用といえます。肌に接する側を1人ごとに交換できる形にしておく、という考え方です。

なお、美容所で講ずべき衛生上必要な措置は、美容師法にもとづき都道府県(保健所を設置する市・特別区では市・区)の条例でも定められています(出典: 厚生労働省 法令等データベース 美容師法 第13条・第20条 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=79081000&dataType=0&pageNo=1 )。開業前に管轄の保健所へ確認する項目として扱ってください。

選定基準1:色

括弧書きとはいえ、色について具体的な推奨が国の通知に書かれています。

「白色又はこれに近い色で汚れが目立ちやすい被布を使用することが望ましい。」

理由は文面からそのまま読めます。汚れが目立ちやすいことが目的です。汚れが見えなければ、清潔なものを使用するという判断ができません。

同じ考え方は作業衣にも適用されていて、従業者は「清潔な外衣(白色又はこれに近い色で汚れが目立ちやすいもの)を着用」することとされています(出典: 同上、第4の6)。

商品を選ぶときは、濃色のクロスがサロンの内装に合う、という判断とは別の軸があることになります。黒やネイビーのクロスを選ぶ場合、汚れの確認をどの手順で担保するかを自分で決めておく必要があります。

選定基準2:枚数

枚数についても規定があります。

「器具類及び布片類は、十分な量を備えること」

(出典: 同上、第2の16)

「十分な量」は数値で示されていませんが、他の条項と合わせて読むと、意味するところは具体的になります。皮膚に接する布片類は客1人ごとに交換し、使用後のものは洗浄・消毒に回るので、同時に使える枚数は「1日の客数」ではなく「洗浄・消毒の回転が追いつく枚数」で決まります。

注意したいのは、1日の最大客数ぶんだけ用意する数え方です。使用後のものが消毒中である以上、それでは足りません。回転に必要な枚数を含めて「十分な量」、という読み方になります。

これはシザーやブラシと同じ考え方です。消毒方法の区分と、それを踏まえた本数の決め方は「理美容器具の消毒と衛生管理の基本」(/articles/kigu-shoudoku-eisei-kanri/ )にまとめました。

選定基準3:素材と消毒への耐性

タオルなどの布片類については、消毒の条件が素材選びに効きます。

「使用したタオル及び布片類を洗剤で洗浄した後、蒸し器等の蒸気消毒器に入れ、器内が80℃を超えてから10分間以上保持させること」

(出典: 同上、第5の4)

または、次亜塩素酸ナトリウム液に浸して消毒する方法が示されています(出典: 同上)。

つまり布片類については、80℃を超える蒸気に10分間以上さらされるか、次亜塩素酸ナトリウム液に浸されるかのいずれかが前提です。布片類として洗って消毒に回すものを選ぶときは、この条件に耐えるかどうかが確認項目になります。耐熱性や塩素系薬剤への耐性の表示があるかを見る、ということです。なお、要領の被布の条項(第4の15)には消毒方法の指定はなく、求められているのは使用目的に応じた区別と清潔なものの使用です。

使用後の扱いについては、「使用後の布片類は、洗剤等を使用して温湯で洗浄することが望ましいこと」ともされています(出典: 同上、第4の13)。蒸しタオルを使う場合は「消毒済みのものを使用すること」です(出典: 同上、第4の14)。

血液が付いた場合

「血液が付着したタオル、布片類は、廃棄するか又は血液が付着している器具と同様の洗浄及び消毒を行うこと」

(出典: 同上、第5の4)

廃棄という選択肢が明記されているので、高価な布片類ばかりで揃えると、この判断がしにくくなります。廃棄しても運用が止まらない構成にしておく、という観点が出てきます。

選定基準4:使用目的での区別

被布の条項に戻ると、もう一つの要求があります。

「客用の被布は、使用目的に応じて区別し、」

カット用、カラー用、シャンプー用といった用途別に分けて持つことが求められています。

これは道具の数に直結します。「クロスを何枚買うか」ではなく、**「用途をいくつに分けるか × それぞれ回転に必要な枚数」**が必要数になります。開業準備で一式を見積もるときは、この掛け算で数えます。

撥水性や防水性の要否も、用途区別と一緒に決まります。薬剤を扱う用途と、カットだけの用途では、求められる性能が違うためです。

揃える順番

  1. 用途をいくつに分けるかを決める。 カット、カラー、シャンプーなど。ここが掛け算の片方です。
  2. 用途ごとに、洗浄・消毒の回転に必要な枚数を見積もる。 1日の客数ではありません。
  3. 色を決める。 白色又はこれに近い色が推奨されています。濃色を選ぶなら、汚れを確認する手順を別に決めます。
  4. タオルなど消毒に回す布片類は、素材が消毒条件に耐えるかを確認する。 80℃超の蒸気10分以上、または次亜塩素酸ナトリウム液。
  5. 肌に接する部分の扱いを決める。 ネックペーパーやタオルを1人ごとに交換する形にするか。管轄の保健所に確認します。

道具全体の優先順位の考え方は「美容師の独立開業・開店準備で揃えるべき道具ガイド【個人装備編】」(/articles/dokuritsu-kaigyo-dougu-guide/ )で、開業手続きの流れは「美容所開設の手続き」(/articles/biyousho-kaisetsu-tetsuzuki-gyakusan/ )で整理しています。

まとめ

  • クロス・ケープの選定基準は、メーカーの説明より先に衛生管理要領に書かれています。
  • 「被布」と「皮膚に接する布片類」は別の条項です。 被布には「客1人ごとに取り替える」という文言がなく、皮膚に接する布片類にはあります。肌に接する部分をどう扱うかが運用の分かれ目です。
  • 色は「白色又はこれに近い色で汚れが目立ちやすい被布」が望ましいとされています。目的は汚れを見えるようにすることです。濃色を選ぶなら、確認の手順を別に決めます。
  • 枚数は「十分な量」とされています。1日の客数ではなく、洗浄・消毒の回転が追いつく枚数で決まります。
  • タオル・布片類の消毒は、蒸気消毒器で80℃を超えてから10分間以上、または次亜塩素酸ナトリウム液への浸漬です。消毒に回すものは、素材がこの条件に耐える必要があります。
  • 血液が付着した布片類は、廃棄という選択肢が明記されています。廃棄しても運用が止まらない構成にしておきます。
  • 被布は「使用目的に応じて区別」します。必要数は「用途の数 × 回転に必要な枚数」の掛け算です。
  • 直近の改正は令和6年6月26日ですが、布片類・消毒の条項は変わっていません。実際の運用は管轄の保健所にご確認ください。

ご利用にあたって:掲載内容は一般的な情報提供を目的としています。記載は2026年9月17日時点で厚生労働省が公開していた通知にもとづくもので、改正される場合があります。また都道府県等の条例により、実際に求められる取扱いが異なる場合があります。開業・運用にあたっては必ず管轄の保健所にご確認ください。

Amazonと楽天市場で実物を見てみる

ここまで整理した観点で実物を比べたい場合は、Amazonや楽天市場の検索結果で素材や色の展開、価格帯を眺めると相場感がつかめます。特定の商品をおすすめするものではありません。

広告/PR

※リンク先はAmazonおよび楽天市場の検索結果です。
Amazonのアソシエイトとして、Prosporaは適格販売により収入を得ています。