美容師の道具
管理美容師の資格要件:「常時2人以上」で必要になり、免許後3年の実務と講習修了が要る
美容師である従業者が常時2人以上の美容所には、管理美容師を置く義務があります。要件は美容師免許を受けた後3年以上の業務従事と、都道府県知事が指定した講習会の修了。講習の科目、受講の流れ、開業スケジュールへの影響、令和6年改正で認められたオンライン対応まで、法令と通知をもとに整理します。
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この記事の根拠
この記事は公開情報6件をもとに作成しています(最終確認日 2026-09-17)。
出典一覧を見る
- 美容師法(昭和32年6月3日 法律第163号)|厚生労働省 法令等データベース (確認日:2026年9月17日)
- 管理理容師資格認定講習会及び管理美容師資格認定講習会の指定基準の運用について(平成21年1月28日 健発第0128008号)|厚生労働省 (確認日:2026年9月17日)
- 受講資格・応募方法|公益財団法人 理容師美容師試験研修センター (確認日:2026年9月17日)
- 管理理容師・管理美容師の概要|公益財団法人 理容師美容師試験研修センター (確認日:2026年9月17日)
- よくあるご質問|公益財団法人 理容師美容師試験研修センター (確認日:2026年9月17日)
- 「理容所及び美容所における衛生管理要領」等の一部改正について(令和6年6月26日 健生発0626第6号。別紙1は新旧対照表、改正後全文を収録)|厚生労働省 (確認日:2026年9月17日)
管理美容師の資格要件:「常時2人以上」で必要になり、免許後3年の実務と講習修了が要る
独立開業を1人で始めるなら、この資格はまだ要りません。ただ、美容師のスタッフを雇い、美容師である従業者が常時2人以上になると必要になります。 そして要件のなかに「免許を受けた後3年以上」と「講習会の修了」が入っているので、必要になってから動くと間に合わないおそれがあります。
この記事では、法令と通知に書かれている要件を整理します。開業手続き全体の流れは「美容所開設の手続き」(/articles/biyousho-kaisetsu-tetsuzuki-gyakusan/ )で扱っています。
いつ必要になるか
美容師法第12条の3第1項は、こう定めています。
「美容師である従業者の数が常時二人以上である美容所の開設者は、当該美容所(当該美容所における美容の業務を含む。)を衛生的に管理させるため、美容所ごとに、管理者(以下「管理美容師」という。)を置かなければならない。」
(出典: 厚生労働省 法令等データベース 美容師法 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=79081000&dataType=0&pageNo=1 )
分岐は**「美容師である従業者の数が常時2人以上」**です。理容師美容師試験研修センターも、従事者の数が常時2人以上である理容所・美容所の開設者は衛生的管理のため管理者を置かなければならない、と案内しています(出典: 理容師美容師試験研修センター 管理理容師・管理美容師の概要 https://www.rbc.or.jp/workshop/overview/ )。
読み方の注意点が3つあります。
- **数えるのは「美容師である従業者」**です。受付やアシスタントで美容師免許を持たない人は、この数に入りません。
- 「美容所ごとに」置く必要があります。店舗を2つ持つなら、それぞれに必要です。
- 開設者自身が要件を満たしていれば、自ら主として管理する1つの美容所について管理者になれます(出典: 美容師法 第12条の3第1項ただし書 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=79081000&dataType=0&pageNo=1 )。オーナーが現場に立つ1店舗目なら、自分で兼ねられるということです。
つまり、1人で開業するあいだは不要です。 2人目の美容師を入れる日が、期限になります。
要件は2つ
同条第2項が、管理美容師になれる者を定めています。
「管理美容師は、美容師の免許を受けた後三年以上美容の業務に従事し、かつ、厚生労働大臣の定める基準に従い都道府県知事が指定した講習会の課程を修了した者でなければならない。」
(出典: 美容師法 同上)
**「かつ」**なので、両方が必要です。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 実務経験 | 美容師の免許を受けた後、3年以上美容の業務に従事していること |
| 講習 | 厚生労働大臣の定める基準に従い、都道府県知事が指定した講習会の課程を修了していること |
実務経験は「免許を受けた後」から数える
起点は免許の登録日です。理容師美容師試験研修センターの受講資格は、「理容師又は美容師の名簿に登録し免許を受けた後、受講資格基準日までに日本国内において3年以上理容又は美容の業務に従事された方」とされています(出典: 理容師美容師試験研修センター 受講資格・応募方法 https://www.rbc.or.jp/workshop/qualify/ )。
「日本国内において」という限定があること、そして申込書提出時に3年以上の業務従事期間が確認できる業務従事証明書を提出できることも受講資格とされていることに注意してください(出典: 同上)。
同センターのよくある質問では、フリーランスの個人事業主の場合も、従事証明書は業務を行っている美容所の開設者(保健所に開設届を提出した人)に記入してもらうよう案内されています(出典: 理容師美容師試験研修センター よくあるご質問 https://www.rbc.or.jp/faq/ )。証明は美容所の開設者に記入してもらうものなので、過去に勤めていたサロンに依頼する必要が出てくる場合があります。独立にあたって円満に辞めておく実務上の理由が、ここにもあります。
講習会の中身
厚生労働省の指定基準の運用通知によると、講習の科目は次の2つが標準とされています(出典: 厚生労働省 管理理容師・管理美容師資格認定講習会の指定基準の運用について https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc5586&dataType=1&pageNo=1 )。
| 科目 | 含まれる内容 |
|---|---|
| 公衆衛生 | 公衆衛生と衛生行政、感染症 |
| 美容所の衛生管理 | 衛生管理総論、店舗の構造設備、店舗の衛生管理、従業者の健康管理、消毒法とその用途 |
同じ通知には、講習会の運営についても基準が示されています(出典: 同上)。
- 講習はなるべく連続して行うことが望ましいが、分けて行う等2か月以内の期間で実施して差し支えない
- 講師あたりの受講者は200人を限度
- 少なくとも毎年1回は開催するよう努める
- 受講資格は免許取得後3年以上の業務従事
- 「出席状況並びに試験又は課題の成績の著しく不良な者等については修了を認めないものとすること」
修了が自動ではない点は押さえておく必要があります。出席と成績が要件に入っています。
スケジュールに効く:申込は抽選
ここが開業計画に直接効きます。
理容師美容師試験研修センターの案内によると、応募は先着順ではなく抽選制です(出典: 理容師美容師試験研修センター 受講資格・応募方法 同上)。流れは次のとおりです。
- オンライン申請システムでエントリー(ユーザー登録とキャッシュレス決済が必要)
- 抽選の当選・落選がメールで通知される
- 当選者が受講申込情報・必要書類・顔写真をアップロード
- 審査結果と受講料の支払い案内が通知され、決済
キャッシュレス決済ができない場合のために、紙での手続きも用意されています(出典: 同上)。
抽選である以上、1回で受講できる保証はありません。 講習会は少なくとも毎年1回は開催するよう努めることとされているので、外れた場合は次の機会を待つことになります。
「2人目を雇う直前に申し込む」という段取りは、ここで崩れます。スタッフを入れる計画があるなら、実務3年の要件を満たした時点で早めにエントリーしておくのが安全です。
令和6年の改正で認められたこと
管理美容師の業務については、衛生管理要領の令和6年6月26日改正で、新しい規定が加わりました。
「管理理容師又は管理美容師が行う業務のうち、第3の2の(1)及び(3)並びに第4の1の業務は、デジタル技術等を活用して適切に業務を行うことができる場合は、当該業務についてオンライン実施・兼任により対応できるものであること。」
(出典: 厚生労働省「「理容所及び美容所における衛生管理要領」等の一部改正について」(令和6年6月26日)に収録の改正後全文 第6 https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001403691.pdf )
対象となる業務は3つです(出典: 同上)。
| 条項 | 業務 |
|---|---|
| 第3の2の(1) | 従業者の健康管理 |
| 第3の2の(3) | 従業者への衛生教育 |
| 第4の1 | 毎日、従業者が感染症にかかっていないかどうかの確認 |
これらについて、オンラインでの実施や兼任での対応が認められたということです。
この改正は、令和4年12月に策定された「デジタル原則を踏まえたアナログ規制の見直しに係る工程表」を踏まえたもので、この3つについてはデジタル技術等を活用した対応が可能になりました。ただし**「適切に業務を行うことができる場合」**という条件付きなので、実際の運用は管轄の保健所に確認が必要です。
なお、管理美容師を「美容所ごとに」置く義務そのもの(美容師法第12条の3第1項)は変わっていません。オンライン対応が認められたのは、要領が定める業務の一部です。
開業計画への落とし込み
- 1人で始めるなら、当面は不要。 ただし2人目を入れる計画があるなら、この時点から逆算します。
- 自分の実務年数を確認する。 免許の登録日から3年です。
- 業務従事証明書を出してもらえる先を確認する。 過去の勤務先が必要になる場合があります。
- 抽選に早めにエントリーする。 開催は少なくとも年1回が努力目標とされています。外れる前提で計画します。
- 講習は修了が必要。 出席と成績が要件です。受けるだけでは終わりません。
- 開設者自身が取っておくのが最も確実。 自ら主として管理する1つの美容所については自分で管理者になれます。
- 店舗を増やすなら、店舗ごとに必要。 オンライン対応が認められたのは業務の一部です。
衛生管理の実務そのものは「理美容器具の消毒と衛生管理の基本」(/articles/kigu-shoudoku-eisei-kanri/ )、施設と什器の要件は「サロンワゴン・チェアの選び方」(/articles/salon-wagon-chair-erabikata/ )で扱っています。
まとめ
- 必要になる分岐は「美容師である従業者の数が常時2人以上」です。免許を持たない受付やアシスタントは数に入りません。
- 1人で開業するあいだは不要です。2人目の美容師を入れる日が期限になります。
- 要件は2つで「かつ」です。免許を受けた後3年以上の業務従事と、都道府県知事が指定した講習会の修了。
- 実務経験は「日本国内において」3年以上で、申込書提出時に業務従事証明書を提出できることも受講資格です。過去の勤務先に依頼が必要になる場合があります。
- 講習の科目は公衆衛生と衛生管理の2つ。出席状況や成績が著しく不良だと修了が認められません。
- 応募は先着順ではなく抽選です。 1回で受講できる保証はありません。開催は少なくとも年1回が努力目標とされています。早めにエントリーしてください。
- 開設者自身が要件を満たしていれば、自ら主として管理する1つの美容所について自分が管理者になれます。
- 令和6年6月26日の改正で、従業者の健康管理・衛生教育・毎日の従業者の感染症確認の3業務について、デジタル技術等を活用したオンライン実施・兼任が認められました。ただし**「美容所ごとに置く」義務そのものは変わっていません**。
ご利用にあたって:掲載内容は一般的な情報提供を目的としています。記載は2026年9月17日時点で公開されていた法令・通知にもとづくもので、改正される場合があります。講習会の開催日程・受講料は変わる場合があり、受講資格基準日は講習会ごとに定められています。具体的な手続きは、管轄の保健所および公益財団法人理容師美容師試験研修センターにご確認ください。