パーマロッド(ワインディングロッド)の選び方:国家試験の規格とサロン用サイズ展開から整理する

パーマロッドは「太さ(径)」「全長」「形状」の3つで決まります。美容師国家試験第2課題ワインディングが指定する径10〜13mmの4種類・ショートロッドを含め50〜55本という規格と、メーカーが公表しているサロン用の径2〜70mmの展開を突き合わせ、学生用の1セット目とサロン用の買い足しをどう分けて考えるかを整理します。

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この記事の根拠

この記事は公開情報6件をもとに作成しています(最終確認日 2026-09-17)。

出典一覧を見る
  1. 第54回美容師国家試験受験案内(第2課題ワインディング)|公益財団法人 理容師美容師試験研修センター (確認日:2026年9月17日)
  2. 美容師実技試験第2課題 ワインディング審査マニュアル(令和3年5月改訂版)|公益財団法人 理容師美容師試験研修センター (確認日:2026年9月17日)
  3. 美容師実技試験 ワインディング課題未到達技術の事例|公益財団法人 理容師美容師試験研修センター (確認日:2026年9月17日)
  4. 理美容室業務用品 ニューエバーロッド|株式会社エバーメイト (確認日:2026年9月17日)
  5. 理容師・美容師実技試験審査マニュアル|公益財団法人 理容師美容師試験研修センター (確認日:2026年9月17日)
  6. 理容所及び美容所における衛生管理要領について(昭和56年6月1日環指第95号)|厚生労働省 法令等データベース (確認日:2026年9月17日)

パーマロッド(ワインディングロッド)の選び方:国家試験の規格とサロン用サイズ展開から整理する

パーマロッドは、シザーやコームと違って「1本選ぶ」道具ではありません。太さ違いを何本かずつ揃えて、はじめて使える道具になります。そのため最初に決めるべきなのは銘柄ではなく、どの太さを、何本ずつ、いくつの型で持つかという構成のほうです。

この記事では、美容師国家試験が公表している規格と、メーカーが公表しているサロン用のサイズ展開を突き合わせて、学生の1セット目とサロンでの買い足しを分けて考える方法を整理します。特定の商品を推奨するものではなく、選定の考え方を知っていただくための内容です。

ロッドを決める3つの欄

カタログや商品ページでロッドを見るとき、確認すべき欄は実質3つです。

  • 径(太さ):ロッドの直径。「φ12」のように表記されます(単位はmm)。仕上がりのカールの大きさを決める欄です。
  • 全長:ロッドの長さ。同じ径でも型によって長さが変わります。巻ける毛束の幅、つまり1本あたりの守備範囲を決める欄です。
  • 型(形状):F型・Y型・V型といった系統や、コニック(円錐型)のような形状の違い。毛束のまとまり方と巻き留めのしやすさに関わります。

この3つのうち、径だけを見て買うと失敗しやすいのが実情です。同じ径12mmでも、全長100mmの型と全長160mmの型では想定される用途が違います(全長160mmのF型ロングはスパイラルパーマ専用)。

まず国家試験の規格を「既定路線」として押さえる

美容学生の場合、1セット目の構成は自分で設計する必要がありません。受験案内に数値で書かれているからです。

第54回美容師国家試験の受験案内によると、第2課題ワインディングの技術の条件は次のように定められています(出典: 理容師美容師試験研修センター 第54回美容師国家試験受験案内 https://www.rbc.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/%E7%AC%AC54%E5%9B%9E%E3%80%90%E7%BE%8E%E5%AE%B9%E3%80%91%E5%8F%97%E9%A8%93%E6%A1%88%E5%86%85%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0.pdf )。

項目条件
作業時間20分間
ロッド本数ショートロッドを含め50本以上55本以内
ロッドの太さ10mmから13mmまでの4種類
輪ゴムの掛け方1本1重
フロント太さ13mmのロッドを使用し、パートラインの右側では右斜め後方に5本、左側では左斜め後方に2本を、それぞれオンベースに巻き収める
センター4種類すべての太さのロッドを使用し、P点までを13mmのロッドでオンベースに巻き収め、P点からネープまでは12mmのロッドから巻き始め、10mmのロッドで巻き終わるように1/2オフベースで巻き収める

持参する用具も一覧化されており、ワインディング関連ではモデルウイッグ1体、ロッド適量、ロッドケース1個、ワインディング用ペーパー適量(白色又は淡色)、輪ゴム適量、コーム1本、乾燥タオル2枚が挙げられています(出典: 同上)。

つまり学生の1セット目は、径10・11・12・13mmの4サイズを、合計で55本を余裕をもって超える本数で持つ、というところから動きません。ここは好みの入る余地がない欄なので、迷わず規格どおりに揃えるのが正解です。

「ショートロッド」という4つ目の変数

見落とされやすいのが、径ではなく全長のほうの条件です。審査マニュアルでは、「フロントの巻き始め、サイド及びネープのいずれかにショートロッドが使用されていない」ことが「×の対象」(基礎的技術に達していないと評価される項目)として挙げられています(出典: ワインディング審査マニュアル https://www.rbc.or.jp/wp-content/uploads/2021/07/b-saiten02wR03.05.pdf )。

径10〜13mmの4種類を揃えただけでは足りず、同じ径でも短いロッドを別途持つ必要がある、ということです。購入時に「10〜13mmの4サイズ」とだけ覚えていると、ここが抜けます。

太さの配列にも条件がある

同じ審査マニュアルには、配列についての「×の対象」も明記されています(出典: 同上)。

  • センターに使用されたロッドの太さが3種類以下である
  • サイドに使用されたロッドの太さが1種類である
  • センターの巻き始めからネープに向けて太いロッドから細いロッドへと順番に巻き収められていない
  • サイドのロッドが、下方向に太いロッドから細いロッドへと順番に巻き収められていない

「センターは4種類すべてを使う」「サイドも2種類以上を使う」「上から下へ太→細の順に並べる」という3点が、道具の側から見た要求になります。4サイズのうち1サイズだけ本数が足りない、という買い方をすると、この条件を満たせなくなります。4サイズを均等に近い本数で持つのが無難です。

同センターが公開している「未到達技術の事例」でも、センターの太さが3種類以下であること、サイドの太さが1種類であることが「×の対象」の事例として挙げられています(出典: ワインディング課題未到達技術の事例 https://www.rbc.or.jp/wp-content/uploads/2021/07/b-wd-pi-saiten.pdf )。

サロンで使う場合:径の幅は試験の10倍以上ある

試験が扱うのは径10〜13mmという狭い範囲ですが、サロン用のロッドはこれよりはるかに広い範囲で作られています。

メーカーが公表しているニューエバーロッドのサイズ展開を見ると、型ごとに次のような径が並んでいます(出典: エバーメイト ニューエバーロッド https://www.ever-mate.com/products/professional/ne_rod.html )。

型公表されている径の展開公表されている全長
F型エクストラビッグ 32・29・26 / ビッグ 23・20・17 / スタンダード 15・14・13・12・11・10・9・8・7・6・5・4・3 / ショート 15〜3(13種) / スーパーショート 15・13・11記載なし
F型ウィンディスタンダード 32・29・26・23・20・17・15・13・12・11・10・9・8・7 / ショート 13・12・11・10記載なし
F型スーパービッグ70・60・50・40 / 35・32・29・26・23・20・17・15 / 13.5・12・10・8順に各110mm / 各105mm / 各100mm
Y型23・20・17・15・13.5・12・11・10・9・8・7・6.5・5.5・4.5・3.5・2(12〜2は長さ違いで2種)記載なし
F型ロング22・20・18・16・14・12・10各160mm
F型コニック(円錐型)12→24・10→20・8→16各125mm
V型23・20・17 / 15各90mm / 80mm
サンビッグ50・40・35・30・25各80mm

(単位はmm。表記は公表されている値にもとづきます)

ここから読み取れることが3つあります。

1つ目。径は2mmから70mmまである。 試験の10〜13mmは、この幅の細い側に寄った狭い帯にすぎません。大きな径のロッドでふんわりとした動きを出すパーマを扱うなら、試験の帯とは別に太い径の帯が必要になります。

2つ目。全長は型やサイズ区分で変わり、公表されている値では80mmから160mmまで開いている。 F型ロングの160mmは、ミディアムヘアからロングヘアまで規則正しいウェーブを作るスパイラルパーマ専用ロッドの長さです。逆に全長が短いのはV型(90mm・80mm)とサンビッグ(80mm)です。同じ径を複数の全長で持つという買い方は、ここに理由があります。

3つ目。径7mm未満の細い側の展開があるのはF型とY型だけで、2mmまであるのはY型だけ。 細い径が要る場合は、型が限られます。

買い足しの順番

サロン用を一度に全部揃える必要はありません。優先順位は、自分のサロンで実際に受注しているメニューの幅で決まります。

  • 試験用の10〜13mm帯は、そのまま通常のパーマでも使えます。学生時代のセットは捨てずに残す前提で考えます。
  • 次に足すのは、今のメニューで届いていない径です。太いウェーブの相談が多ければ20mm以上、細かい動きの相談が多ければ8mm以下、という順です。
  • 全長違いは、径の幅がひととおり埋まってからで足ります。1本目の全長違いで効きやすいのは、ロングヘアを扱う頻度が高い場合の、F型ロングのような長いスパイラルパーマ用です。

開業準備の段階で全サイズを揃えるのは、費用の面でも保管の面でも合理的ではありません。道具全体の優先順位の考え方は「美容師の独立開業・開店準備で揃えるべき道具ガイド【個人装備編】」(/articles/dokuritsu-kaigyo-dougu-guide/ )で整理しています。

消毒を前提に本数を決める

厚生労働省の「理容所及び美容所における衛生管理要領」では、皮膚に接する器具類は客1人ごとに消毒した清潔なものを使用し、皮膚に接しない器具であっても汚れやすいものは客1人ごとに取り替え又は洗浄することとされています。消毒の方法も列挙されており、方法ごとに浸す時間などの条件が決まっています(出典: 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta5155&dataType=1&pageNo=1 )。詳細は「理美容器具の消毒と衛生管理の基本」(/articles/kigu-shoudoku-eisei-kanri/ )にまとめています。

道具選びの観点で重要なのは、消毒に回っている間、その本数は使えないという点です。1日に複数人のパーマを受ける想定なら、1人分の本数では回りません。よく使う径ほど、回転を見込んだ本数で持つ必要があります。これは「何サイズ持つか」とは別の、「同じサイズを何本持つか」という判断です。

また、購入時に、その製品がどの消毒方法に対応しているかの表示があるかを確認しておくと、後から使えない本数が出るのを避けられます。

周辺用具はロッドとセットで数える

ロッド単体では巻けません。受験案内の持参用具一覧にも、ロッド以外にロッドケース、ワインディング用ペーパー、輪ゴム、コーム、乾燥タオルが挙げられています(出典: 第54回美容師国家試験受験案内 同上)。

  • ロッドケース:径ごとに仕切られていることが、作業速度に直結します。試験は20分間なので、取り出しに迷う構造だとそこで時間を失います。
  • ワインディング用ペーパー:試験では白色又は淡色が指定されています。
  • 輪ゴム:審査では「1本1重に掛けられていない」「クロスに掛けられている」が「×の対象」です(出典: ワインディング審査マニュアル 同上)。1重で掛けやすい太さ・張りのものを選ぶ、という基準になります。

ロッドを買うときは、この3点の在庫も同時に数えておくと、当日や施術当日に足りない事態を避けられます。シザーケースの選び方については「シザーケースの選び方」(/articles/scissor-case-erabikata/ )で別途整理しています。

まとめ

  • ロッドは「径」「全長」「型」の3欄で決まります。径だけを見て買うと、全長違いが必要になったときに買い直しになります。
  • 学生の1セット目は設計不要です。受験案内が径10〜13mmの4種類、本数50〜55本(ショートロッドを含む)、作業時間20分と数値で定めています。
  • ただし径4サイズを揃えるだけでは足りません。審査マニュアルはショートロッドの使用箇所を「×の対象」に挙げているので、同じ径の短いロッドを別に持つ必要があります。
  • 4サイズは均等に近い本数で持ちます。センターに4種類、サイドに2種類以上を使い、上から下へ太→細に並べる条件があるためです。
  • サロン用の径は公表値で2mmから70mmまで、全長は80mmから160mmまであります。試験の帯はその一部でしかありません。買い足しは、今のメニューで届いていない径から順に足します。
  • 消毒に回る分を見込んで、よく使う径は本数を厚く持ちます。「何サイズ持つか」と「同じサイズを何本持つか」は別の判断です。
  • 本記事の根拠は、試験実施機関が公開している受験案内・審査マニュアル、厚生労働省の衛生管理要領、メーカーが公表している製品情報だけです。巻き心地や仕上がりの好みは扱っていません。

ご利用にあたって:掲載内容は一般的な情報提供を目的としています。試験の条件は2026年9月17日時点で公開されていた第54回の受験案内にもとづくもので、回次により変更される場合があります。受験に際しては必ず最新の受験案内をご確認ください。製品の仕様は各メーカーが公開していた内容にもとづくもので、変更される場合があります。購入や利用の最終的な判断はご自身で行ってください。

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ここまで整理した観点で実物を比べたい場合は、Amazonや楽天市場の検索結果で径の展開や本数、価格帯を眺めると相場感がつかめます。特定の商品をおすすめするものではありません。

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